アプリのラッピング作業で運用負荷が増大
ソニーフィナンシャルホールディングス傘下で生命保険事業を手がけるソニー生命保険と、南北アメリカ/ヨーロッパ/アジアの20ヶ国以上で事業を展開するエイゴングループのエイゴン・インターナショナルとの合弁により、2009年12月に営業を開始したソニーライフ・エイゴン生命。「個人年金を人生年金へ」をスローガンとし、将来的なシニアライフの安心や希望につながる「人生年金」を提供する年金保険商品のエキスパートを目指している。
同社では2014年頃まで、Microsoft Exchange Serverでオンプレミスの社内システムを構築し、iPhoneの標準アプリからメールやカレンダーなどを利用していた。しかし、この環境では情報の機密性を十分に確保できないことから、モバイルソリューションの選定を開始したという。
(左から) ソニーライフ・エイゴン生命 情報システム部 システム業務課 統括課長 馬場正晴氏,
同 ITセキュリティマネージャ 磯貝徹氏
ソニーライフ・エイゴン生命の情報システム部 システム業務課 統括課長の馬場正晴氏は「この時にBlackBerry(当時は、Good Technologyの製品として販売)製品も比較検討の対象に含まれていましたが、当時はまだサポートベンダーが1社しかない状況に加えて、国内事例の少なさと価格面での折り合いがネックでした。また、同時期にデスクトップ仮想化のプロジェクトが進行していた関係から、そちらと親和性の高い仮想アプリケーションソリューションの導入を決定したのです」と語る。
ソニーライフ・エイゴン生命
情報システム部 システム業務課 統括課長 馬場正晴氏
こうして完成した従来システムは、当初課題とされていた情報の機密性をクリアするものであった。しかし一方で、情報システム部の運用負荷が増えてしまうという、新たな課題が生じたという。
馬場氏はこの点について「App Storeから直接アプリをダウンロードすることができない仕様だったため、メールやカレンダーなどのアプリのバージョンアップがある度に自社内でラッピングする手間が発生していました。端末支給者の約8割が営業スタッフなのですが、彼らは全国各地で営業活動を行っているため、アプリの更新が必要な際は、月末の部会など、全員が帰社するタイミングに合わせて一度端末を回収し、当日のうちに再セットアップを済ませる必要がありました。また、OSやアプリのバージョンアップに応じて、不具合なく動作するか検証を行うための手間と時間も大きな負担となっていました。基本的な運用方針として、業務で使用するアプリ以外の部分は各ユーザーに管理を委ねていたので、OSのバージョンなどに差異が生まれやすいといった点も、検証の工数が増える要因のひとつでした」と話す。
高い情報の機密性や豊富な導入実績などが決め手に
従来システムの運用開始から2年が経過した2016年、同社ではこうした運用負荷の課題に加え、サポート終了期日が迫ってきた関係から、改めてモバイルソリューションの選定を開始した。
ソニーライフ・エイゴン生命
情報システム部 ITセキュリティマネージャ 磯貝徹氏
候補に挙げられた製品はいくつかあったが、ローカルのネイティブアプリを使うものや、情報の機密性に欠けるものを除外。その結果、従来システムで採用していたソリューションの「バージョンアップ版」を継続使用する、もしくは「BlackBerry Enterprise Solution」へ移行する、という2つの選択肢に絞り込まれた。
ITセキュリティマネージャの磯貝徹氏は「ソリューションのバージョンアップ版は、従来システムと同じく運用負荷が高くなってしまうのがネックでした。一方で、BlackBerry Enterprise Solutionは非常に高い情報の機密性を備えていますし、Goodブランドだった2014年当時と比べて代理店や国内事例が増加し、安心して利用できるようになりました。セキュアながらApp Storeで直接アプリをダウンロードできる点も、運用負荷の課題解決につながります。また、現在はiOSとAndroidの端末が混在しているため、その両方に対応しているのも重要でした。こうして、BlackBerry Enterprise Solutionへの移行に踏み切ったのです」と語る。
充実したサポートによりスムーズな導入を実現
こうして同社では、BlackBerry Enterprise Solutionへの移行を決定。販売代理店の新明和ソフトテクノロジに導入サポートを依頼し、新たなシステム構築がスタートした。
新明和ソフトテクノロジ
ソリューションビジネス部 東日本グループ長 青澤司氏
「新明和ソフトテクノロジでは、トライアル用に30日間の無料試用サービスを提供していますが、弊社の規模ではこの期間内にすべての検証を終えるのが難しいと判断し、最初にライセンスを一部購入してトライアルにあたりました。BES/UEMの統合に関係する構築トラブルに若干戸惑う場面もありましたが、特に大きなトラブルもなくスムーズに導入できたのは助かりましたね。新明和ソフトテクノロジの技術力に裏付けられた“成功報酬型”というスタイルも、大きな安心感につながりました」と笑みを浮かべる馬場氏。
これを受け、新明和ソフトテクノロジ ソリューションビジネス部 東日本グループ長の青澤司氏は「システムは、実際に使ってみなければ分からないことが多いものです。そこで弊社では、お客さまにご満足いただけることを最優先と考え、業界でも珍しい成功報酬型を採用しています」と話す。
運用負荷の低減に加えて利便性や業務効率も向上
BlackBerry Enterprise Solutionを用いた新システムは、ソニーライフ・エイゴン生命保険に大きなメリットをもたらした。
「これまで課題となっていた運用負荷については、アプリ配信の際アプリのラッピングが不要になっただけでなく、従来7台構成だったサーバー台数が減ることでメンテナンスが容易になりました。ハードウェアコストの削減と同時に、リソースにも余裕ができましたね」(馬場氏)
さらに磯貝氏は「使い勝手の面でも大きな改善効果が見られました。従来はサーバー仕様の関係で更新をかけても同期するまでタイムラグがあったのですが、新システムではプッシュ通知によるリアルタイム性がアップし、業務効率の向上に役立っています」と、新システムのメリットについて語る。
BlackBerry Enterprise Solutionにより、モバイルワークにおける利便性向上と運用負荷の低減を同時に実現したソニーライフ・エイゴン生命。現在は、社外へ機密情報を渡す際に有効な「BlackBerry Workspaces」の導入検討や、Windows 10に対するセキュリティ面での検証を行うなど、BlackBerryのソリューションに対して更なる期待を寄せている。